うなぎ特集

美味しい「うなぎ」の比較


子供のころから好きでよく食べていたうなぎだけど、あらためてハマってみて、「うなぎ」という、とても特殊な食べ物だということを再認識しました。一つの食材、一つの料理で、沢山のうなぎ屋さんがしのぎを削っている。バリエーションはあるが、基本的に江戸前なら、焼き蒸し焼きの調理法ひとつであり、しかも、串打ち三年、裂き八年、焼き一生と言われるように、本当に美味しいうなぎの蒲焼を作るには、高度な技術が必要とされることも極めてユニーク。素材のバリエーションは、主に養殖うなぎだが、まれに天然も食べることができ、養殖うなぎにも、いろいろなものがあるようだ。

うな重にはいくつかポイントがあるのだけど、どのうなぎ屋さんも一長一短、個性があり、甲乙付けがたい。私は映画好きに一番聞いてはいけない質問は「一番好きな映画は?」だと思っているのだけど、それと同じで「一番美味しいうなぎ屋さんは?」という質問は、なかなか答えにくい質問だと思う。

ここでは、一つ一つ基準をとったときに、美味しかったお店を整理してみます。ただし、たまたまそのときにそう思っただけかもしれず、普遍的な事実と考えているわけではありません。

各うなぎ屋さんでは、殆どの場合、それぞれ一番お勧めのうな重・うな丼を食べました。それは必ずしも特上というわけではなく、お店によっていろいろな状況・考え方があります。うな重のグレードは例外なく分量だが、分量の差のつけ方をうなぎの個体の大小にするお店(a)と、同じ大きさのうなぎで枚数(匹数)を変えるお店(b)、そのコンビネーションで沢山のグレードを作るお店(c)、そして例外的に方法を固定していないお店(d)、グレードを設定していないお店(e)がある。(a)の場合、比較的大きいのを勧めるお店(a1)と、むしろ小さいのを勧めるお店(a2)がある。


(a1) 明神下神田川本店、前川、宮川本廛、渋谷大和田、赤坂ふきぬき、石ばし、尾花、う、廣川
(a2) やっ古、
(a) 渋谷松川、竹葉亭、梅の井
(b) 色川、大江戸、五代目野田岩
(c) 神田きくかわ、飯田橋川勢
(d) 川栄
(e) 安斎
不明:いちのや神泉
(店員やそのときによっても変わるかもしれず情報は絶対的なものではない。)



(1) タレ食感等トータルで、口に入れてすぐに旨いと思ったお店

「祇園う」「渋谷大和田」「石ばし」「赤坂ふきぬき」

ただし「ふきぬき」については、一つだけ調査の時期が離れていて基準が多少異なるため、改めて調べる必要があり、暫定的な結果。



(2) タレがとくに旨いと思ったお店

「前川」「明神下神田川本店」「大江戸」「宮川本廛」「渋谷大和田」「赤坂ふきぬき」「石ばし」「梅の井」「う」「竹葉亭木挽町本店」

この中でとくに、「前川」が印象的だった。次が「う」。「大和田」「石ばし」も良かった。他は甲乙付けがたい。

「やっ古」もわるくはなかった。

生醤油が立っていると感じたのは、「廣川」、次が、「いちのや神泉」。

みりんが立っていると感じたのは、唯一、「神田きくかわ」。

タレが濃かったのは、「渋谷松川」、「色川」。濃すぎはしないが、「川栄」は比較的濃い目。


焼き醤油の香ばしさがとくに美味しかったのは、「五代目野田岩」。このほかにも、「明神下神田川」、「前川」、「大江戸」、「宮川本廛」、「渋谷大和田」、「赤坂ふきぬき」、「石ばし」、「川栄」、「う」、「川勢」で若干感じられた。

「尾花」は若干塩辛さが感じられた。



(3) ふっくらした焼き上がり

まず印象に残ったのは、「廣川」。他にも、「明神下神田川」、「前川」、「大江戸」、「宮川本廛」、「渋谷大和田」、「いちのや神泉」、「五代目野田岩」、「赤坂ふきぬき」、「石ばし」、「尾花」、「川栄」、「安斎」、「う」も良く、甲乙付けがたい。

この中で、川栄は、皮のパリっとした食感も残している。

うなぎ自体の肉の厚さなどについては、別の項目で比較したい。

焼き魚のようだったのは、神田 きくかわ

極端に柔らかかったのは、荻窪 安斎。旨みがある反面、食感がヌメヌメしていて、食後に生臭さが長く残った(30分後に他所でデザートを食べるぐらいまで)。

「尾花」もかなり柔らかいが、仕上がりの食感はサッパリしている。

宮川本廛では、うなぎがかなり肉厚だったかわりに、わずかに生臭さも感じられた。



(4) うな重・うな丼のご飯

ご飯に関しては来店する時間によってかなり変わると考えられるので、断定はしがたい。

とくにご飯が美味しいと感じられたのは、明神下神田川本店。

安斎はかなり柔らかめで少しべちょべちょしている。竹葉亭木挽町本店はパサパサで水分の抜けたご飯でだめだった。幾分パサパサ感があったのは、神田きくかわ。

その他は大抵、普通か、それ以上に美味しいと感じられた。



(5) 白焼き

白焼きは10軒でしか食べていない。残りは今後の課題。

最も見事と思ったのは、「いちのや神泉」。柔らかいが崩れるほどではなく、旨みがあり、生臭さもなかった。焼き魚的な要素は皆無だった。生から40分以上蒸し、あまり長くは焼いていないとのこと。

「う」は柔らかいだけでなく、香ばしさもあり見事。

「ぎをん梅の井」「廣川」もとても美味しい白焼きが食べられた。
「梅の井」のわさびは20軒中とくに良かった。

「前川」では一口目に土臭さがあったが、個人的に気にはならなかった。うなぎ(「うなぎ坂東太郎」)の身がしっかりしていて、実質感のあるうなぎだった。

「安斎」では身が崩れるほど柔らかな仕上げで、日本酒「八海山」と合わせて大変美味だったが、食感がヌメヌメしてわるく生臭さもあった。

「野田岩」「川栄」「宮川本廛」のは香ばしさがあったが、若干焼き魚のニュアンスもあった。「野田岩」の白焼きは保温器に入って出されるのが特徴

「神田きくかわ」は歯ごたえが焼き魚のようで、歯にくっつくかんじがあり、皮の滑りも強かった。





大和田            ☆☆☆☆☆
松川              ☆☆
いちのや          ☆☆☆☆☆
野田岩            ☆☆☆☆++
赤坂ふきぬき      ☆☆☆☆
竹葉亭            ☆☆☆-
明神下神田川本店  ☆☆☆++
神田きくかわ川勢              ☆☆☆☆
やっ古            ☆☆☆☆
色川              ☆☆☆☆
前川              ☆☆☆☆☆
尾花              ☆☆☆☆
石ばし            ☆☆☆☆++
大江戸            ☆☆☆☆+
宮川本廛          ☆☆☆☆
川栄              ☆☆☆☆☆
安斎              ☆☆
ぎをん梅の井      ☆☆☆☆+
う桶や う         ☆☆☆☆☆
廣川」            ☆☆☆☆+


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